
今回は、あきた牧場代表の武藤達未(むとうたつみ)さんに、取材させていただきます。テーマは、「一人で牧場を開くには?」です。

漠然と牧場をやってみたいとか、動物飼ってみたかったんだよねっていう人に、何かしら刺さればいいなと思っていますので、よろしくお願いします。
この記事について
この取材記事は、YouTubeオンライン取材を文字おこし・編集したものです。
目次
プロフィール

2023年6月時点の情報
1人で牧場をはじめるには?

「牧場をはじめたい!」「やりたい!」と思った人は、まずはどんなステップで何をしたらいいのでしょうか?

とにかく最初は、動物に関わる仕事を探してみたり、それに携わるような学校に行ったり、農業を専攻している大学に進むことですね。

人々の食に携わり、命を扱う仕事なので、そういうことをちゃんと理解するのが、牧場経営へ向けての第1歩だと思います。
実際に牧場見学に行ったり、従業員の人に話を聞いたりするのも勉強になりますし、なんなら僕のところにちょっと来て、見学するのでもいいですよ。
実際に牧場見学に行ったり、従業員の人に話を聞いたりするのも勉強になりますし、なんなら僕のところにちょっと来て、見学するのでもいいですよ。

誰に相談したらいい?

例えば、農業や牧場経営のスキルがない社会人が「牧場をやりたい!」となった場合、誰に相談したらよいでしょうか?

牧場を1人ではじめたい!と思ったなら、「どこで、どのように牧場経営をしたいか」が重要になってきます。
1人で考えてもわからないので、僕は自治体・役場に相談しました。自分がやりたいこと、求めていること、将来的に補助金申請をしたいなど、役場の方にすべて伝えるんです。
1人で考えてもわからないので、僕は自治体・役場に相談しました。自分がやりたいこと、求めていること、将来的に補助金申請をしたいなど、役場の方にすべて伝えるんです。

そしたら、補助金や研修先、地域の畜産情報などいろいろ入手できます。
それを得たら、「研修先はあるのかどうか(するべきか否か)」、「補助金申請のためにはどんなステップが必要か」など、牧場主になるためのロードマップが見える化して、将来設計がしやすくなります。
それを得たら、「研修先はあるのかどうか(するべきか否か)」、「補助金申請のためにはどんなステップが必要か」など、牧場主になるためのロードマップが見える化して、将来設計がしやすくなります。

どうやって牧場のことを学ぶ?

牧場経営に関する知識やスキルは、”現場”以外でも得られますか?

現場で学ぶほか、本でも学ぶことができます。研修先でうさぎを飼育していたのですが、当時はうさぎのことが全く分からなかったんですよ。
なので、とりあえず本屋さんに行って「うさぎの専門書」を買いました。獣医さんが買うような、病気や治療法が掲載されている本ですね。かなり参考になりますよ。
なので、とりあえず本屋さんに行って「うさぎの専門書」を買いました。獣医さんが買うような、病気や治療法が掲載されている本ですね。かなり参考になりますよ。

飼育している動物が病気になった時、誰に相談していますか?

それこそ、うちの父が牧場をやってるので、父に聞きます。それ以外だと、専門書を見て解決したり、家畜保健所に連絡して相談しています。
牧場の開業費用はどれくらい?

あきた牧場の開業時には、どれくらい費用がかかりましたか?

開業資金(準備費用)で、ぶっちゃけて700万くらい借りました。そのうちの半分はもう「設備(畜舎)」に行きました。残りの半分は「餌代」や「動物購入代」です。開業資金は、けっこうかかりますね。
家畜はどこで購入する?

武藤さんは、「ひつじ」と「うさぎ」などを飼育していますよね。 どこに行ったら買えるんですか?

僕の場合、うさぎは研修していたハピー農場です。ひつじは北海道のツテをあたって購入しました。

あきた牧場のひつじ

あきた牧場のジャンボうさぎ(写真左)

家畜は、「土地の牧場(農場)にお願いして購入する」っていうのが一般的なんですか?

ひつじ・うさぎ・やぎなど、マイナーな動物であれば、 「直接やってる人に頼むしかない」と思います。牛・豚・鶏といった、メジャーな家畜は市場があります。
初心者におすすめの家畜は?

ド素人の質問ですが、「初心者におすすめの家畜」を教えていただいてもよろしいでしょうか…?

僕がおすすめできるは、やっぱり「ひつじ」。 初心者におすすめ…というよりかは、扱いやすい。
ひつじは放牧できますし、秋田県で言えば、放牧できる空き地があまっています。育て方を間違えなければ、扱いやすいし、お肉のほか羊毛も取れる。さらには、病気にも強いので。
ひつじは放牧できますし、秋田県で言えば、放牧できる空き地があまっています。育て方を間違えなければ、扱いやすいし、お肉のほか羊毛も取れる。さらには、病気にも強いので。

あきた牧場で取れた羊毛

秋田県は雪が降る地域なので、温度管理が大変そうなイメージです。

「ひつじ」の場合、温度管理はほとんどいりません!モンゴルだと-40度くらいなりますが、ひつじはそれにも耐えられます。北海道でも-20度ですけど、屋根なしでもへっちゃらなんですよ。
家畜のお肉はどこに、どうやって売る?

自分が育てた家畜の肉などは、どこに売っているんですか?

特別に契約してるところは、1つもありません。うさぎの場合、需要はあるのですが、あきた牧場で出荷できる数が少なく(2023年6月時点)、供給が追い付かない状況なので…。
現在8割は、秋田県内の飲食店、10店舗ぐらいに卸しています。
現在8割は、秋田県内の飲食店、10店舗ぐらいに卸しています。

販路の拡大方法(販売先を増やす方法)を教えてください。

販路を拡大する方法の1つの手段として、SNSがあります。僕の場合、日々のことを配信していると、ありがたいことに「これって買えるんですか?」 、「SNSで見かけたので、牧場に直接来ました!」というお声をいただきます。

テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・YouTubeなど、積極的に取材を受ける(断らない)ことも、販路拡大につながっていると思います。

今回も取材を受けてくださり、ありがとうございます!泣
牧場×クラウドファンディングをしてみた感想

武藤さんは、クラウドファンディングも活用して資金調達を実践していますが、実際にやってみた感想を聞きたいです。

クラウドファンディングをやるにあたって、一つ注意したいのが、「アテにしない方がいい」ということ。もちろん支援してくれる人はすごく嬉しいんですけど、例えばそれが、「何万円いかなかったら、この事業は失敗する」のだと、ダメだと思います。

僕の場合は、「ジャンボうさぎ」というブランドを広めたかった、理解者を増やしたかった、という目的をもってプロジェクトを組みました。

クラウドファンディングで得た資金を、メイン事業に使うのではなくて、+αの部分で使うのがベター…ということですね。
牧場経営の心構え

「牧場経営において大切な心構え」があれば教えていただきたいです。

運営するにあたって一番大切なことは、「耐えること」だと思います。やめたいって思うこともあるだろうし、つらいことも、めちゃくちゃあると思うんです。
そういう時に僕は、「何のために自分はここでやってるんだ!」って自問自答します。僕の場合は、ひつじやうさぎ、動物のために行動しているんだと。
そういう時に僕は、「何のために自分はここでやってるんだ!」って自問自答します。僕の場合は、ひつじやうさぎ、動物のために行動しているんだと。


牧場を経営するなら、命はをぞんざいに扱いたくない。金儲けというよりは、「この動物たちが、どうやったら世の中に広めてあげられるのか」、「おいしく食べてもらうには、どうすればいいんだろうか」っていうのを、常に考えながら経営しています。
ちょっと言語化するのが難しいんですけど、 動物をどう見るかっていうのを、自分の中で考えることが大切だと思います。
ちょっと言語化するのが難しいんですけど、 動物をどう見るかっていうのを、自分の中で考えることが大切だと思います。
あきた牧場の羊毛を使った商品

今年中に、あきた牧場産の(羊毛を使用した)マフラー、ニット、セーターなどを販売する予定です。ぜひ手に取ってみて、秋田で育ったひつじを感じて、知っていただきたいです!

SNSで情報を発信しているので、気になる方はぜひ見ていただけたら嬉しいです!
あきた牧場について(関連情報)

じゃんごTVで「あきた牧場」を見学した動画も公開しています!武藤さん、ありがとうございました~!

ありがとうございました~!
【あきたびじょんBreak】
「秋田から全国へ高質な羊肉を提供できる牧場を作りたい」というのが彼の夢…その計画はどこまで進んでいるのだろう。そしてなぜ、羊牧場の例が少ない秋田で挑戦するのだろう。
武藤さんの思い描く「羊牧場の構想」を取材しました。#秋田 #羊牧場 https://t.co/l7COVGXSzd
— じゃんご@秋田ブロガー・ライター・YouTuber (@jango_hensyu) August 11, 2020
◆リスキーだけど、僕は秋田で羊牧場をつくる。ハピー農場 武藤達未|あきたびじょんBreak
◆あきた牧場関連記事はこちら(じゃんごブログ)