【屠殺】自分が飼っていた比内地鶏を絞めて食べる|感じたこと全部書きます

注意!
この記事には、鶏を屠殺した写真や実際に捌いている写真、表現などが記載されています。

 

飼っていた3羽の比内地鶏を屠殺(とさつ)しました。

読んで字のごとく、締めました。

屠殺(とさつ)とは?

家畜など動物を殺すこと。

鶏を屠殺した理由は、「人間が生きるために動物を殺める行為」を体験してみたかったから。これは、比内地鶏を業者から購入する以前に決めていたことです。

「ペット」としてではなく、鶏の「成長過程」や「屠殺(締めること)」なども学びたかった。3羽の鶏に名前をつけなかったのもそれが理由です。名前をつけたら、悲しすぎる。

突然の報告で驚かれる方も多いかと思います。

飼っていた鶏を、この手で絞めました。

羽根をむしって、肉を切って、食べました。

この記事では、「自分が飼っていた鶏を絞めて食べる」という行為の中で感じたことをまとめています。

比内地鶏の記事やYouTubeを見て「可愛いね!」「見に来たい!」と僕に言ってくれた友人がたくさんいました。成長記録を見て「可愛いね!」とコメントしてくれる読者・視聴者さんもたくさんいました。

じゃんごブログ・じゃんごTVに映る3羽の鶏を愛してくれた方、ありがとうございます。

そして、「また3羽の鶏を見たい!」と思っていた方もいたはずです。もう可愛い鶏たちはこの世に存在していません。期待を裏切るようで申し訳ございません。

比内地鶏の成長・飼育方法など

比内地鶏を飼っていた期間はおよそ1年。成長過程や飼育方法などは、このブログとYouTubeで公開してきました。

屠殺した3羽の鶏は自分で購入し、自分で育てた鶏です。言ってしまえば、生かすも殺めることも僕の自由。つまり、こんなムゴイ記事を書かなくてもよかったわけです。

ですが、ブログやYouTubeに成長過程を公開してきて「この鶏たちは、ブログ読者や動画視聴者のものでもあるな」と僕は思ったので、こうして鶏たちの最後をお伝えするカタチとなりました。

 

生後1日目から育てた比内地鶏

比内地鶏は秋田県内の業者から購入しました。

業者から受け取ったのは産まれて間もないヒヨコ。いずれは卵も欲しいと思っていたので、メスを3羽購入しました(メスだけでも卵は産む※無精卵)

生後まもない様子

比内地鶏は「薩摩地鶏」「名古屋コーチン」と並ぶ、日本三大地鶏と言われています。

比内鶏の選抜優良種「秋田比内鶏」のオスと、「ロードアイランドレッド種」のメスを選抜し諸問題を解消したのが「比内地鶏」。

比内地鶏の卵は黄身が濃厚で弾力があるとされており、お肉は弾力があり、秋田名物・きりたんぽ鍋には欠かせない食材のひとつでもあります。

比内地鶏を購入した際の領収書

購入したのは春。

この時期の秋田県はまだ寒いので、ペット用の保温電球を使って温度管理をしていました。

ヒヨコの期間(初生雛)には、「温度管理を徹底すること」のほかに「新鮮な空気を送ってやること」も重要なポイント。そのほかにも、ヒヨコからの飼育は重要なポイントがたくさんあります。

そこで助けられたのが「自然卵養鶏法」という本。

養鶏おすすめ本
商品名 自然卵養鶏法
出版社 農山漁村文化協会 増補版
ジャンル 単行本
アマゾン
楽天市場

この本には、初生雛~大雛までの育て方のノウハウが詳しく書かれていました。僕はこの本参考にしたおかげで、1年間病気ナシ・毎日良質な卵を産む鶏を育てることができました。

また、成長過程にあわせ「やらなければならないこと」が1週間刻みで書いてあるところがすごく参考になりました。

「鶏を初めて飼育する!」という方におすすめしたい本です。

 

生後150日目で卵を産んだ

生後150日目、はじめて卵を産みました。

この時の感動は今でも忘れられません。

見た目がよくても中身が不安。ほとんどイチから育てた鶏だったので、白身・黄身が市販卵のように構成されているかとても不安でした。

家に持ち帰って殻を割ってみると、意外にも質が良く、しっかりとした卵だったのでホッとしました。

自然の大地を踏ませて草を食べ、新鮮な空気で育った自然卵…生後150日目にしてようやくゲットです!

鶏の中には120日程度で第1卵を産む鶏もいるそうですが、それでは鶏の体がつくられていない状態で産卵することになり、負担も大きく、卵の質もあまり良くないそう。

飼っていた鶏が産んだ卵は、より自然なタイミングで産んだ卵だったのだと感じます。

自然卵(赤)のほうが圧倒的に殻が堅い

 

第1卵を発見した後は、3羽とも順調に卵を産むようになりました。最初はバラつきがあったけれど、次第に毎日産むようになりました。

冬の寒い時期。鶏の卵の数は減るようですが、僕が飼っていた比内地鶏は夏~秋と変わらない頻度で産み続けました(冬場、飼育環境にヒーター等設置していません。日光が屋内を温めて条件を満たしたと思われます)

順調に卵を産み続ける比内地鶏。

屠殺すると決めていた“1年後”がやってきました。

 

およそ1年で屠殺

1年経てば、あんなに小さかったヒヨコが大雛となり卵を産む。鶏の成長ってこんなに早いんですね。

名前さえついていないけれど、まるで我が子のように抱っこしたり、話しかけたりしていました。目に入れたら痛いと思うけれど、とてつもなく可愛い。

あぁ、この子たちを殺めてしまうなんて。

でも、人間はそうやって生命をつないできた。だから僕は、今こうして記事を書けています。

今夜食べる唐揚げも、明日食べる照り焼きチキンも、名前も知らない誰かが鶏を殺め、捌いたもの。

鶏を殺め、捌いて、食べる…人間が行ってきた行為を、その気持ちを、僕は知りたいんです。

比内地鶏をはじめとした“食肉用”とされる鶏たちは、生後1年も経たないうちに屠殺され、スーパーや肉屋、飲食店へと並びます。

ちなみに、私たちがよく耳にする「若どり」とは生後3ヶ月齢未満の鶏。生後3ヶ月の鶏を育てたからよくわかる。かなり小さくて可愛い段階で屠殺されるのか…。

 

比内地鶏の屠殺を体験

屠殺前日・感謝の気持ちを込めて最後の掃除

1年飼った鶏を屠殺する前日。感謝の気持ちを込めて、最後の掃除をしました。

せめて最後の夜を気持ちよく過ごせるようにと、いつも敷いているもみ殻をたくさん敷いた。好物のエサをたくさん与えた。

…これでは映画で見たことがある死刑直前の囚人だ。

いつものようにエサと水場に群がる鶏たち…赤子の手のように小さいその脳で、一体何を考えているのだろう。1年エサを与え続けた僕を、何だと思っているのだろう。

ごめん、明日殺してしまうんだ。

 

比内地鶏を屠殺した方法

翌朝。この日で鶏を絞めて、捌いて、食べる。

できることなら自分で全ての工程を済ませたいところでしたが、僕に鶏を絞める・捌くといった専門知識は皆無です。そのため、専門知識のある方を頼り、お願いしました。

鶏を屠殺する方法は幾つかありますが、以下の方法で絞めました。

  1. 生きたまま鶏の足を縄で括る
  2. 吊るす(頭を下にする)
  3. 口からナイフを入れ血管を切る

文字にするとなおさら「惨い」と感じますが、こうして鶏の命を奪ってきたのが人間です。

 

比内地鶏の屠殺を体験した感想

…初めてのことばかりで気が動転しそうになりました。

ケージから屠殺場へ移動させるため、バタつかないよう羽根の根元を強引につかむ。羽根の根元からは生温かい体温が伝わってきます。

 

 

 

 

「今は生きているのに、数分後には…」

1年前から覚悟を決めていたつもりだったけど、屠殺場へ向かう僕の足取りは鉛のように重かった。

血管を切るために、ナイフをくちばしに寄せる。意外にも簡単にパカッと口を開けた。無抵抗なのか、悟ったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

指導に習い、喉元の血管を切る。

聞いたことのない「クリッ」としたなんとも鈍い音と同時に、粘り気のある赤黒い血液が地面に垂れる。

初めて鶏の口にナイフを入れた。

初めて鶏を殺めた。

初めて鶏の断末魔を聞いた。

目の前で吊るされ、文字通り血眼になっているのは、僕が育てた鶏で間違いない。

心の中で「ごめん」と何度も謝った。

 

捌いて食べた感想

絞めた比内地鶏の羽根をむしる

3羽の比内地鶏を絞めた後、捌ける状態にするため、羽根をむしる作業をします。

そのまま引っ張ると羽根が抜けないので、鍋に熱湯を用意し、その中にだらんとした鶏を軽くつけこむ。そうすると、簡単に羽根が抜ける。

 

 

羽根を抜いていると、次第にブツブツとした”鳥肌”が見えてきます。

多少グロテスクな作業ではあったけれど、徐々に鶏肉になっていく様を見ていると、「ごめん」という気持ちが「ありがとう」という気持ちに変化した。

 

部位ごとに捌く

部位ごとに捌いていただきました。これがかなり複雑で、一朝一夕では技術が身につかないと確信しました。

いくら初心者がYouTubeで「鶏の捌き方」を予習してもこれはムリ。

バーナーで細かい毛を焼く

 

 

 

 

 

 

3羽の比内地鶏は、冬の期間運動不足だったこともあり、かなり脂肪(黄色の部分)が多めです。この脂肪をフライパンで熱すると、よくラーメンなどに使用される「鶏油」になります。

部位ごとにカットされた鶏肉は自家消費。

比内地鶏の飼育を温かく見守ってくれた家族と一緒に鍋を囲むことにしました。

 

比内地鶏を屠殺して食べた感想

比内地鶏を屠殺した日の夕食は、秋田名物・だまこ鍋。ガラと鶏肉は、つい数時間前に生きていた3羽のもの。

まさか「その日のうちに鍋になる」なんて考えもしなかったよね。いただきます。

 

翌日には、あらゆる部位を使った「焼き鳥」をつくりました。

焼きたての比内地鶏の肉は弾力があってうまい。

比内地鶏の肉は弾力があり、疲労回復や運動能力向上効果があるとされている「カルノシン」や「アンセリン」が、他の鶏よりも多く含まれていると言われています。

2019年10月~2020年2月までのあいだ、秋田県内の宿泊施設で開催されていた「比内地鶏フェア」が話題となったように、比内地鶏の肉は今注目されているコンテンツでもあるのです。

 

最後に

自分が育てた鶏を屠殺し、捌いて、食べる…という行為を経験した後、大きく変化があったのは「いただきます」「ごちそうさまでした」の意味合いです。

保育園や学校では「いただきます」「ごちそうさまでした」を大声で叫んでいれば問題はなかった。声さえでていれば先生からは怒られなかったから。

大人になった今でも、それなりの表情と合掌ができれば、常識のある人だと認識される。できない人もいるから、評価につながることもある。

僕はずっとパフォーマンスをしていたんです。

…自分で育てた鶏をこの手で殺めた今は違う。「いただきます」「ごちそうさまでした」の対象は、苦しい思いをした動物や生産者に向けられるもの。いや、本質はそこにしかない。

今年で27歳になる僕ですが、この歳になってもまだ、感謝の言葉の意味を理解できていなかったことに反吐がでそうになります。びっくりですよね。

今日もどこかで鶏を屠殺している人がいる。牛や豚を捌いている人がいる。苦しんでいる動物がいる。

動物の命や大地の恩恵に感謝して…というのは人間の都合でしかないけれど、それでも感謝の気持ちを込めて声にしたいと思う。

1年育てた比内地鶏、ごちそうさまでした。


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