「これが秋田の農業女子」あきたこまちをブランド化させた小松有沙さんのガチ

 

「秋田県大仙市で若い女性がお米を作っている」

そんな聞き捨てならないニュースが筆者の耳に入ったのは、2019年の6月頃。

どうやらその女性は家族で農家を営んでいるようです。

2019年は19町歩もの作付けを行い、生産しているあきたこまちは「ありさこまち」と命名・商標登録をし、販売しているようです。

これは気になる…

ダメ元で取材オファーをしてみたら対談OK!!

今回は大仙市の女性農家・小松有沙さんとの奇跡の対談をお届けします。

 

 

女性農家になった理由

<プロフィール>

  • 小松 有沙(こまつ ありさ)
  • 秋田県大仙市出身
  • 1992年6月13日生まれ(27歳)
  • 高校卒業後、14代続く実家の稲作農家に。2019年4月にあきたこまちブランド「ありさこまち」を商標登録済み。

じゃんご
今回はよろしくお願いします!(…めっちゃ美人だな)

ありさ
よろしくお願いします。

じゃんご
突然ですが、一番気になっていること聞いていいですか?

なぜ秋田で農家を営み、「ありさこまち」を生み出したのか。ありささんのストーリーが知りたいです。

 

ありさ
私、農業高校出身で、高校の頃は授業で稲作をやっていたんです。課題研究も稲作について取り組んでいました。

さらには自分の家が農家で(田んぼがあるので)「授業で習ったこと」を取り入れたら親も楽できるんじゃないかとか、いろいろ考えながら手伝ってるうちに農業の楽しさと出会いました。

高校卒業をしてからはずっと実家の田んぼでお米をつくっています!

じゃんご
ありささん、すごくめずらしいですよ。若い女性が秋田でお米づくりなんて。しかも超美人。

ありさ
そんなことないです(笑)

 

生みだすということ

ありさ
私が実家で田んぼやり始めた時は7町歩くらいしかなかったんですけど、今はうちの実家、9町歩やっています。

あとは他の方から頼まれてやっている分が10町歩です。全部で19町歩ですね。今年の場合は5月6日から田植えを始めました。

じゃんご
すげ~…

ありさ
来年からはもっと増やして、20町歩は超えますね。

じゃんご
そしたら毎日作業ですよね~(キツそう)
収穫したお米はいつもどこへ出荷しているんですか?

ありさ
卸売業者さんと契約して出してます!

あきたこまちはみんな同じお米だと思われるので、「ありさこまち」というブランドをつくって商品価値を高めて販売しています!…ましてや「女の人がやってる」なんて珍しいじゃないですか。

じゃんご
珍しいです。おっ!ってなりましたもん(笑)
これ聞くのもアレですが、「大手のお米を扱うところ」からはお声がけされていないですか?

ありさ
「だせだせ!」って言われてますよ(笑)
でも赤字になるのがわかってて出荷するよりかは、独自で考えて販売ルート探していかないと!って思うんですよね。

今の農業って、春先に通帳みたら「じぇんこはいってね〜な〜」って感じで借金が…

じゃんご
農家の選択肢や可能性を広げている、新・秋田農家だと思います。

ありさ
なにかきっかけをつくらないと。
ただ作るだけじゃなくて、人や作業、発育過程を発信しなければブランド価値は高められません

「秋田県のあきたこまち、うまくてあだりめだよな!」…じゃなくて、「あきたこまち?だけどありさこまちって何だろう?」などという疑問をつくってあげないと、きっかけもうまれません。

じゃんご
ありさこまち、名前が掛かっていて生産者がすぐわかるのいいと思いました。

ありさ
でも「ありさ米」ってよく間違えられるんです…すごく腹立ちますよ!笑

 

個人だからこそ効率がいい

じゃんご
ありさこまちや情報発信を通して「秋田で農業をすること」や「次世代への魅力発信」などという、自身が伝えたい想いはありますか?

ありさ
やっぱり農業って「汚い」とか「疲れる」っていうイメージがあると思いますけど、それってか弱い女性でもできますよ?…か弱く見えないかもしれないですけど!(笑)

女性だけど、女性だからこそ気づくことってあるんですよ。女性ならではの。例えば、商品のブランディングとか、作業工程の細かい部分とか。

私が発信していくことで、農業に対する考え方が変わってきたり、若い人が入ることによって気づかなかったことも気づいていけるだろうなと思っています。

じゃんご
家族で農業を成立させ、「ありさこまち」という商品ができた。これからも規模はこのままですか?

ありさ
会社や法人にしてしまうのもいいんですけど、果たしてそれに「ついてくる人」がいるのか疑問です。
それと、外部の人間入れると揉めるじゃないですか、正直な話(笑)

その点うちは家族(個人)でやってるので、文句いおうが何しようが、その中で収まるんです(笑)
現に19町歩まわせてますからね。

じゃんご
家族で完結してしまったほうが圧倒的に効率的がいいのはすごくわかります。私の家も農家なので。

私の活動上、チームで何かしたい!と思ったりするんですけど、まず秋田で「ついてくる人」がいるのかわからないです。だからありささんの言う通り、個人のほうが効率いいとも思います。

 

「売り方」と「魅せ方」

2019年4月に「ありさこまち」が商標登録された

じゃんご
ありささん、以前秋田県の【ミス称号】受賞していましたね。(あらゆる団体や企業が募集する「ミス〇〇」など)

ありさ
はい(笑)
あの時は大変でしたよ。
一次・二次審査、最終面接ってあるんですけど、

私、ノーメイクのスーツ姿でいったんですよ。

じゃんご
メイクしないのには理由があったんですか?(こういう時ってガンガンにキメていくイメージだけど…)

ありさ
若いから~とかじゃなく、私その日、作業してから会場行ったんです。しかも帰ってからも作業残ってたので、もうノーメイクでいっちゃえ☆みたいな(笑)

じゃんご
すげ~(笑)

 

ありさ
私、小学校の頃からドッジボールをやってて…

じゃんご
太田?

ありさ
そう!風の子ハリケーン。

じゃんご
確か太田のドッジボールってめちゃくちゃ強かったような…

ありさ
そうなんです~全国行ってます。

じゃんご
ですよね~!太田といえばドッジボールの印象あります。

ありさ
で、社会人になってもシニアで活動していて、その中で関東近隣の方と仲良くなり、今では関東へ遠征(試合)しに行ったりします。

そのつながりで、ありがたいことにお米を購入していただいたり、販売ルートが枝分かれしていったり。

じゃんご
口コミで広がっているんですね。

ありさ
浅草でお米を販売したこともあります。ロック座の前でやりました。

それがあんまり売れなかったんです!!

じゃんご
え?それはなぜですか!?あきたこまち、県外で売れそうなのに。

ありさ
量り売りでしたが、みんな手に持って帰りたくないみたいなんです。邪魔になるので。
お試しで2合!みたいなパックあったらイケたかなぁ~って、今になって思いますね。

ありさ
う~ん。確実に地方に住む人とは違う目線を持ってた。都会目線。

あと、「無農薬が欲しい!」っていう方もいましたね。だから来年から無農薬により近づけたお米づくりを検討しています!

ありさ
オーレックのウィードマン
それで雑草取りできるんです。

じゃんご
ありささんから農業ワードでてくるの、やっぱり意外すぎる…(オーレックのウィードマン、検索してみてね)

ありさ
田植え機とかコンバインとか見ると、だいたい機械の名前が最初にでてきちゃいますよ。

「あれ、クボタの〇〇だべ~?」みたいな(笑)

じゃんご
これぞ農業女子!

 

面白さの作り方

じゃんご
ありささんのお家は「14代続く稲作農家」とお聞きしております。

もはやDNAに「米づくり」が刻まれているように思えるのですが、代々続いているという使命感はありますか?

ありさ
使命感というか、なんか…やってて面白いんですよね!トラクターに乗ってると、自分の時間がつくれるんですよ。

作業はしなきゃいけないけど、その間YouTubeで音楽聴いいたりして充実してます(笑)

ありさ
私、この前の【植えなおし】を
裸足で入ったんです(笑)

じゃんご
え?長靴もはかないで!?

ありさ
長靴、水入るから「もういいや脱いじゃえ」って。
だって長靴はいて田んぼ入ったら、中に泥入ってガポガポなるじゃないですか~、だから脱いじゃったんです(笑)

じゃんご
その野生児感も意外です(笑)

ありさ
あと、山から流れてくる水が冷たくて気持ちいいんです。田んぼから上がって足入れた瞬間が気持ちいい!
そこあたりの土管の上に座りながら、「ハァ~気持ちいいなぁ~」ってやるの、最高に気持ちいですよ!

趣味はグラウンド・ゴルフ。お母さんと大会に出場しているほど熱中している

個人ならではの行動力

じゃんご
「ありさこまち」を商標登録するまでの経緯を知りたいです。

ありさ
知り合いに「とってみたらいいじゃん!そしたらウチのところで販売してもいいよ」と言われたのがきっかけなんです。

だから、とりあえず落ちてもいいからやってみよう!って。商標登録について知識はありませんでしたが、話を聞きに行ったり、教えてもらいながら進めていきました。自分たちで。

最終的に登録まで5~6万くらい掛かったのかな。

けど、期間は1年かかりました。書類のやりとりが多くて、その度にネットで調べて…私たちの記載ミスも有ったんですけどね(苦笑)

でも登録証が届いた時は凄い嬉しかったですね〜!なんか達成感がありました!

じゃんご
すごい。
自分たちでやり遂げたんですね~。

ありさ
おかげさまで10年間使えますぅ~!

じゃんご
なんでも挑戦ですね。その行動力というか、フットワークの軽さがありささんの「強さ」なんだと伝わってきます。

ありさ
なんか、言われたからにはやってやるぞ!みたいなところはありますね(笑)

 

秋田女性の良さ

「車にグラウンド・ゴルフクラブあるんで持ってきますね~」…なんともノリがいい!

じゃんご
ありささんのお話聞いてると、いい意味で「秋田の女性」っぽいな、って感じがします。

父さん母さんたち世代の「良さ」みたいなのを受け継いでいる数少ない若者…みたいな。一本筋が通ってる。

ありさ
中途半端って嫌じゃないですか。何やるにも。

自分の意見は通したいけど、通せない人って必ずいると思うんですよ。今の人たち、多い気がする。

自分の筋が通らない…けどそれを覆すようにうまくやらなきゃいけないし、それができない人ってどんどん仕事も辞めるし。

じゃんご
(うなずく)

ありさ
なんとなく最初はやってたけど、やっていくうちに面白いって思うんです。私は。

じゃんご
女性農家の一人として、「難しさ」や「厳しさ」を感じることはありますか?

ありさ
女性農家に対するサポートが全体的に低い。補助金も受け取りにくい。

例えば、女性農家が補助金をいただいた後に結婚して、妊娠してしまって農業ができない環境になったら~というケースが考えられていないんです。

その部分が、まだまだだよなぁ~って思います。女性には厳しいですよ、農業。まだ【農業=男】という概念がありますね。

じゃんご
女性もスタートダッシュが切りやすい環境になればいいですよね。

ありさ
そうですね。頑張ってるんだったら年間これくらい…とか、先が見えるんだったらやっていきたい!と思う人も増えると思う。

野菜でも花でも果樹でも、増えると思います。

 

じゃんご
2019年に収穫予定のありさこまちは、予約受付中ですか?

ありさ
はい。受付中です♡
だいたい9月の頭くらい、収穫前まで受け付けています!

じゃんご
「ありさこまち」は毎年完売ですか?

ありさ
完売します!予約分しか売らないので。今年の予約はまだ余裕がありますよ!

あと、お米って日持ちしないんです。暑いとこに置いたままだと、一般の家庭では保管が難しい。保管方法によってはダメにしちゃう可能性あるんです。

だからありさこまち予約発送の際はギリギリまで予冷庫で保管して発送するようにしています。絶対ダメにしないように。

じゃんご
今年も収穫が楽しみですね。本日はありがとうございました!

ありさ
こちらこそです!

 

さいごに

「女性農家は厳しい」

今回の取材で心に残った言葉です。

厳しい…なのに挑戦したり、試行錯誤していく中で「楽しさ」を見いだしているありささん。

表現が稚拙になるけれど「あぁ、やっぱりガチなんだな」と思えるシーンがたくさんありました。受け答えだけでなく、気配り、雰囲気など全部。

きっと、彼女のような人材が未来の秋田農業を切り開く存在であり、筆者が知りたかった、みなさんに伝えたかった【本物】なんだと思う。

秋田県大仙市産の「ありさこまち」の予約は公式ホームページより順次受付を開始する予定です。

 

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