秋田県立大学の「学生自主研究」に参加したら楽しすぎた!腹持ちよく血糖値上昇抑制ができるお米の研究|生物生産科学科

じゃんご
本日は秋田県立大学 秋田キャンパス 生物生産科学科の取材にやって来ました!

取材した学生・先生の紹介

[写真左]3年生 桑村海羽(くわむら みう)さん [写真右]3年生 橋本純夏(はしもと すみか)さん 二人とも秋田市出身

生物資源科学部 生物生産科学科 植物分子生理グループ 藤田 直子(ふじた なおこ)教授

じゃんご
おっ、さっそく何か始まっています!

秋田県立大学が開発!腹持ちがいいお米

じゃんご
よろしくお願いします!…ところで今は、なにを作っているんですか?
橋本さん
つみれ汁を作っています!
じゃんご
なぜ、つみれ汁を作っているんですか?(一応、研究なんだよなぁ…)
橋本さん
「まんぷくすらり」をおいしく食べられるように、レシピ開発をしているんです。
じゃんご
まんぷくすらり?
橋本さん
まんぷくすらりは、難消化性でんぷんが多く含まれているお米です。体内で消化されにくいので、ダイエット米としても期待できるんですよ。
藤田先生
見た目は普段みなさんが食べているお米と変わりませんが、中に含まれているでんぷんの種類が違うんです。

じゃんご
え、そんなお米あるの!?

桑村さん
これです!
「まんぷくすらり」とは?

秋田県立大学で開発されたジャポニカ米由来の高レジスタントスターチ米。難消化性でんぷん(※)が通常の米の10倍程度高く、この米の元の変異体を使った米飯や米菓で食後の血糖値上昇抑制が認められています。

※血糖値の上昇抑制、血中コレステロールの上昇抑制、大腸の健康増進、空腹感の抑制など、様々な健康効果が期待できるでんぷん。

橋本さん
でもまんぷくすらりって…

橋本さん
そのまま食べるとおいしくないんですよ。

じゃんご
そうなんですか!?
橋本さん
普段通りに炊いても芯が残っちゃって、食感が悪いんです。なので今回作るつみれは、小麦粉の代わりにまんぷくすらりの米粉を使って、おいしく食べれるレシピを作ろうと思っています。
じゃんご
レシピの原案は誰が考えているんですか?
橋本さん
桑村さんと二人で考案しています。これまでまんぷくすらりの米粉を生かせるよう、いろんなレシピ開発に挑戦したのですが、既製のレシピ通りに作ると独特の食感が残ることがわかりました。
だから二人であの手、この手を使っておいしく食べられるよう工夫しています。

まんぷくすらりの米粉をつみれのつなぎにするとこで弾力性が増し、難消化性でんぷんの効果で少量でも満腹感を得ることができる

きんぴらごぼうを使うことで、まんぷくすらり独特の食感を減らす効果が期待できる

桑村さん
つみれ汁は何度も挑戦していて、結構おいしく作れるようになってきています。
じゃんご
「まんぷくすらりをおいしく食べられるレシピ」が完成したら、その後はどうするんですか?
橋本さん
その後の食べ方提案などできたらいいのですが、とりあえず私たち学生が行う「自主研究(※下記項目で説明)」の目標は、おいしいレシピを作ることです。
藤田先生
大学側では普通のレシピと比較して、どれくらい消化しにくいかといったデータを集めています。
難消化性でんぷんは血糖値が上がりにくいことや整腸作用も期待できるので、最終的には「糖尿病患者に向けた病院食」などに向けて研究・開発を進めたいと思っています。

ほんとにおいしい?実際に食べてみた!

じゃんごもつみれ作りに挑戦!

意外と上手くできた!

きんぴらごぼうが入っておいしそうです

いい香りがしてきました

まんぷくすらり(米粉)を使ったつみれ汁、完成です!

じゃんご
このつみれ、普段から見慣れているつみれと一緒ですね~。

じゃんご
それではいただきます!

(もぐもぐ…)

じゃんご
ん~おいしいです!!

じゃんご
普段食べているつみれ汁と遜色ないですね。特別なものを使用しているという感じもなくて、モチモチ!
桑村さん
よかった~!
じゃんご
これで血糖値上昇が抑えられて腹持ちがいい…さらに整腸作用もあるなんてコストパフォーマンスがいいですよね。よく噛んで食べるからダイエットにも効果的!

しっかりと味がしみ込んでいて本当においしかったです!ごちそうさまでした!

実習が充実している生物生産科学科

じゃんご
「まんぷくすらり」のほかにも、秋田県立大学で開発した商品があるんですか?
藤田先生
あります!油との相性が良く粉っぽくない「あきたぱらり(お米)」、まんぷくすらりを使用した「味噌」や「きりたんぽ」、うどんに適したあきたさらり(お米)の米粉が入った「うどん」などを商品化しています。

これらの商品は秋田県立大学 秋田キャンパス売店ほか、アマゾン、道の駅おおがた(大潟村)などで販売中

桑村さん
私は高校生の時に秋田県立大学の先生が登壇するイベントがあって、そこで初めて「あきたぱらり」を使ったピラフを試食しました。
じゃんご
味や食感はどうでしたか?
桑村さん
普段食べているお米と少し違う感じがしましたが、全然おいしかったです!
じゃんご
桑村さんは、高校生の時から生物生産科学科に興味を持っていたんですか?
桑村さん
そうですね~。実際にイベントに参加して話を聞いてから、その思いはより強くなりました。

じゃんご
橋本さんがこの学科に興味を持ったきっかけは?
橋本さん
農学に興味があったので、農業の知識を学べる生物生産科学科を選びました。
じゃんご
農業を学びたいと思った理由は?
橋本さん
親戚が米農家をしているので興味があったのと、農業は人間が生活する上で大切なことだと思ったからです。それを地元で学びたいとなった時、この大学がベストだと思いました。
じゃんご
生物生産科学科の特徴を教えてください。
藤田先生
この学科は、秋田キャンパスの圃場で農場実習があるんですよ。
じゃんご
作物を育てて方を学びながら研究できる…より教養が深まりそうです!
桑村さん
これまでスイカ、スイートコーン、トマト、キャベツなど、いろんな作物を育てました。
橋本さん
もちろん、お米も育てたよね。
生物生産科学科の特徴

植物の能力を科学的に理解し、バイオテクノロジーによってすぐれた機能を引き出すことによって、植物生産に関する新しい産業の振興と発展に寄与できる人材を育成し、独自の研究を推進する学科です。

主役は学生!秋田県立大学の「学生自主研究」とは?

じゃんご
先ほど「自主研究」というワードがでましたが、詳しく教えてください。
藤田先生
学生が興味を持った研究に、部活のような感覚で参加できるのが自主研究です。対象となるのは1年生から2年生で、学科を問わずあらゆる研究に携わることができます。
じゃんご
普段の授業とは別に用意されているんですね。
藤田先生
通常であれば1年生から3年生の前期までは講義がメインで、3年生の後期からようやく研究室に入り、専門的な研究がスタートします。
ですが自主研究は1年生から参加できるので、「いちはやく研究に触れたい!」、「あの先生から学びたい!」と思っている意欲的な学生にとって嬉しい制度なんです。

今回のレシピ開発は、生物生産科学科の自主研究のひとつだった

じゃんご
所属する学科とは違うジャンルの自主研究に参加してもいいんですか?
藤田先生
大丈夫です!別の学科の先生のもとで学ぶこともできますよ。ちゃんと研究費も大学から支給されるので、興味のある学生はぜひ参加してほしいです。
じゃんご
自主研究のテーマはどのように決めているんですか?
藤田先生
4月のオリエンテーション時に、各先生がざっくりとした研究テーマを提示します。そこから学生は、興味のある研究を選んで進めていくという流れです。
もし学生側から「こういう研究をしたい!」というのがあれば、先生と協議して自主研究のテーマを決めていきます。
橋本さん
自主研究は研究室の雰囲気を知ることができますし、先輩とも情報共有できるのが特徴です!
桑村さん
先生がフランクな方ばかりなので、気軽に質問や相談ができます。先生・先輩との距離が近いのも嬉しいよね。
橋本さん
じゃんごさんにおすすめしたいのが、「桑の葉を消化した蚕(かいこ)のふんで試作した“蚕茶”をつくる」という自主研究です!
じゃんご
蚕のふんでお茶!?とても気になる!!

ムダな研究はひとつもありません

 

じゃんご
「まんぷくすらり」などを商品化したきっかけが知りたいです。
藤田先生
大学で行う基礎研究はかなり専門的なので、具体的に何をやっているのか世の中に伝わりにくいんです。
その中で私が行っているでんぷんの研究が、お米に活用できることがわかったので商品化しようと。そうすることで、難しい研究の必要性が伝わるかな、と思ったんです。
じゃんご
商品を販売しているスターチテックという会社はどんな会社ですか?
藤田先生
「まんぷくすらり」などの販路拡大や営業をしたいなと思い…

藤田先生
秋田県立大学の先生たちで立ち上げた会社です。

じゃんご
大学の先生が立ち上げた会社!?
藤田先生
実はベンチャーに取り組む大学って結構多いんですよ。私たちの会社、「スターチテック」は研究・開発した商品を販売するということと、これまで培ってきた技術で「でんぷんの構造解析」などを受託分析することを事業としています。
将来的にスターチテックが大きくなったら、研究開発部門のスタッフとして卒業生を雇用するのが夢なんです。

藤田教授は㈱スターチテックの取締役。社長は秋田県立大学 中村保典 名誉教授が務める

研究している稲を育てる装置。成長速度は田んぼより早いそうです

じゃんご
機能性のある商品を作ろうとしたきっかけは?
藤田先生
そもそも私たちは「お米のでんぷんはどうやってできるのか」を研究していたんですよ。
その中でお米には10種類以上の酵素が関わっていることがわかり、いろいろな酵素が壊れた変異体の研究を行いました。いろんな変異体を作っていたらお米や麺にあう変異体を発見し、そこで初めて商品化が見えてきたんです。
じゃんご
ということは、研究の結果の産物としてこれらの商品が生まれたんですね。
藤田先生
その通りです!実は「あきたぱらり」、「あきたさらり」の元となる変異体を研究し始めたのは、3期生なんです(取材した学生2人は20期生)。だから大学で行う研究は決してムダなことではなく、未来につながる可能性を秘めているんです。
じゃんご
生物生産科学科の教授として、スターチテックの取締役として、今後のビジョンを教えてください。
藤田先生
「まんぷくすらり」をはじめとした品種が成長してほしいのはもちろんのこと、今後はもっと機能性のある品種を開発中です。
とてもやわらかい餅や、ものすごくおいしいお米というように、これまでにはなかったお米の商品を生み出していきたいと思います!
じゃんご
生物生産科学科はどんな人を求めていますか?
藤田先生
私たちの学科のキーワードは「植物」です。しかし植物は生物学の中ではマイナーというか、二の次というイメージがあるんです。でも考えてみると、地球上で地球を支えているのは植物なんですよね。
光合成で光エネルギーを化学エネルギーに代えて有機物を作れるのは植物だけですし、人間にとっても重要な関わりがあるんです。その重要性や人間にとって欠かせない「食」について興味がある人を求めています。
じゃんご
先生のお話しを聞いていたら、生物生産科学科に入学したくなっちゃいました…!本日はお忙しい中ありがとうございました!
藤田先生
こちらこそ、ありがとうございました!
取材データ

秋田県立大学 秋田キャンパス 生物資源科学部 生物生産科学科
住所:秋田県秋田市下新城中野街道端西241-438
大学HP:https://www.akita-pu.ac.jp/
学科紹介ぺ―ジ:https://www.dbp.akita-pu.ac.jp/index.html

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