本日は秋田県立大学 秋田キャンパス 生物生産科学科の取材にやって来ました!
目次
取材した学生・先生の紹介
おっ、さっそく何か始まっています!
秋田県立大学が開発!腹持ちがいいお米
よろしくお願いします!…ところで今は、なにを作っているんですか?
つみれ汁を作っています!
なぜ、つみれ汁を作っているんですか?(一応、研究なんだよなぁ…)
「まんぷくすらり」をおいしく食べられるように、レシピ開発をしているんです。
まんぷくすらり?
まんぷくすらりは、難消化性でんぷんが多く含まれているお米です。体内で消化されにくいので、ダイエット米としても期待できるんですよ。
見た目は普段みなさんが食べているお米と変わりませんが、中に含まれているでんぷんの種類が違うんです。
え、そんなお米あるの!?
え、そんなお米あるの!?
これです!
「まんぷくすらり」とは?
秋田県立大学で開発されたジャポニカ米由来の高レジスタントスターチ米。難消化性でんぷん(※)が通常の米の10倍程度高く、この米の元の変異体を使った米飯や米菓で食後の血糖値上昇抑制が認められています。
※血糖値の上昇抑制、血中コレステロールの上昇抑制、大腸の健康増進、空腹感の抑制など、様々な健康効果が期待できるでんぷん。
でもまんぷくすらりって…
そのまま食べるとおいしくないんですよ。
そのまま食べるとおいしくないんですよ。
そうなんですか!?
普段通りに炊いても芯が残っちゃって、食感が悪いんです。なので今回作るつみれは、小麦粉の代わりにまんぷくすらりの米粉を使って、おいしく食べれるレシピを作ろうと思っています。
レシピの原案は誰が考えているんですか?
桑村さんと二人で考案しています。これまでまんぷくすらりの米粉を生かせるよう、いろんなレシピ開発に挑戦したのですが、既製のレシピ通りに作ると独特の食感が残ることがわかりました。
だから二人であの手、この手を使っておいしく食べられるよう工夫しています。
だから二人であの手、この手を使っておいしく食べられるよう工夫しています。
つみれ汁は何度も挑戦していて、結構おいしく作れるようになってきています。
「まんぷくすらりをおいしく食べられるレシピ」が完成したら、その後はどうするんですか?
その後の食べ方提案などできたらいいのですが、とりあえず私たち学生が行う「自主研究(※下記項目で説明)」の目標は、おいしいレシピを作ることです。
大学側では普通のレシピと比較して、どれくらい消化しにくいかといったデータを集めています。
難消化性でんぷんは血糖値が上がりにくいことや整腸作用も期待できるので、最終的には「糖尿病患者に向けた病院食」などに向けて研究・開発を進めたいと思っています。
難消化性でんぷんは血糖値が上がりにくいことや整腸作用も期待できるので、最終的には「糖尿病患者に向けた病院食」などに向けて研究・開発を進めたいと思っています。
ほんとにおいしい?実際に食べてみた!
このつみれ、普段から見慣れているつみれと一緒ですね~。
それではいただきます!
それではいただきます!
ん~おいしいです!!
ん~おいしいです!!
普段食べているつみれ汁と遜色ないですね。特別なものを使用しているという感じもなくて、モチモチ!
よかった~!
これで血糖値上昇が抑えられて腹持ちがいい…さらに整腸作用もあるなんてコストパフォーマンスがいいですよね。よく噛んで食べるからダイエットにも効果的!
実習が充実している生物生産科学科
「まんぷくすらり」のほかにも、秋田県立大学で開発した商品があるんですか?
私は高校生の時に秋田県立大学の先生が登壇するイベントがあって、そこで初めて「あきたぱらり」を使ったピラフを試食しました。
味や食感はどうでしたか?
普段食べているお米と少し違う感じがしましたが、全然おいしかったです!
桑村さんは、高校生の時から生物生産科学科に興味を持っていたんですか?
そうですね~。実際にイベントに参加して話を聞いてから、その思いはより強くなりました。
橋本さんがこの学科に興味を持ったきっかけは?
農学に興味があったので、農業の知識を学べる生物生産科学科を選びました。
農業を学びたいと思った理由は?
親戚が米農家をしているので興味があったのと、農業は人間が生活する上で大切なことだと思ったからです。それを地元で学びたいとなった時、この大学がベストだと思いました。
生物生産科学科の特徴を教えてください。
この学科は、秋田キャンパスの圃場で農場実習があるんですよ。
作物を育てて方を学びながら研究できる…より教養が深まりそうです!
これまでスイカ、スイートコーン、トマト、キャベツなど、いろんな作物を育てました。
もちろん、お米も育てたよね。
生物生産科学科の特徴
植物の能力を科学的に理解し、バイオテクノロジーによってすぐれた機能を引き出すことによって、植物生産に関する新しい産業の振興と発展に寄与できる人材を育成し、独自の研究を推進する学科です。
主役は学生!秋田県立大学の「学生自主研究」とは?
先ほど「自主研究」というワードがでましたが、詳しく教えてください。
学生が興味を持った研究に、部活のような感覚で参加できるのが自主研究です。対象となるのは1年生から2年生で、学科を問わずあらゆる研究に携わることができます。
普段の授業とは別に用意されているんですね。
通常であれば1年生から3年生の前期までは講義がメインで、3年生の後期からようやく研究室に入り、専門的な研究がスタートします。
ですが自主研究は1年生から参加できるので、「いちはやく研究に触れたい!」、「あの先生から学びたい!」と思っている意欲的な学生にとって嬉しい制度なんです。
ですが自主研究は1年生から参加できるので、「いちはやく研究に触れたい!」、「あの先生から学びたい!」と思っている意欲的な学生にとって嬉しい制度なんです。
所属する学科とは違うジャンルの自主研究に参加してもいいんですか?
大丈夫です!別の学科の先生のもとで学ぶこともできますよ。ちゃんと研究費も大学から支給されるので、興味のある学生はぜひ参加してほしいです。
自主研究のテーマはどのように決めているんですか?
4月のオリエンテーション時に、各先生がざっくりとした研究テーマを提示します。そこから学生は、興味のある研究を選んで進めていくという流れです。
もし学生側から「こういう研究をしたい!」というのがあれば、先生と協議して自主研究のテーマを決めていきます。
もし学生側から「こういう研究をしたい!」というのがあれば、先生と協議して自主研究のテーマを決めていきます。
自主研究は研究室の雰囲気を知ることができますし、先輩とも情報共有できるのが特徴です!
先生がフランクな方ばかりなので、気軽に質問や相談ができます。先生・先輩との距離が近いのも嬉しいよね。
じゃんごさんにおすすめしたいのが、「桑の葉を消化した蚕(かいこ)のふんで試作した“蚕茶”をつくる」という自主研究です!
蚕のふんでお茶!?とても気になる!!
ムダな研究はひとつもありません
「まんぷくすらり」などを商品化したきっかけが知りたいです。
大学で行う基礎研究はかなり専門的なので、具体的に何をやっているのか世の中に伝わりにくいんです。
その中で私が行っているでんぷんの研究が、お米に活用できることがわかったので商品化しようと。そうすること で、難しい研究の必要性が伝わるかな、と思ったんです。
その中で私が行っているでんぷんの研究が、お米に活用できることがわかったので商品化しようと。そうすること
商品を販売しているスターチテックという会社はどんな会社ですか?
「まんぷくすらり」などの販路拡大や営業をしたいなと思い…
秋田県立大学の先生たちで立ち上げた会社です。
秋田県立大学の先生たちで立ち上げた会社です。
大学の先生が立ち上げた会社!?
実はベンチャーに取り組む大学って結構多いんですよ。私たちの会社、「スターチテック」は研究・開発した商品を販売するということと、これまで培ってきた技術で「でんぷんの構造解析」などを受託分析することを事業としています。
将来的にスターチテックが大きくなったら、研究開発部門のスタッフとして卒業生を雇用するのが夢なんです。
将来的にスターチテックが大きくなったら、研究開発部門のスタッフとして卒業生を雇用するのが夢なんです。
機能性のある商品を作ろうとしたきっかけは?
そもそも私たちは「お米のでんぷんはどうやってできるのか」を研究していたんですよ。
その中でお米には10種類以上の酵素が関わっていることがわかり、いろいろな酵素が壊れた変異体の研究を行いました。いろんな変異体を作っていたらお米や麺にあう変異体を発見し、そこで初めて商品化が見えてきたんです。
その中でお米には10種類以上の酵素が関わっていることがわかり、いろいろな酵素が壊れた変異体の研究を行いました。いろんな変異体を作っていたらお米や麺にあう変異体を発見し、そこで初めて商品化が見えてきたんです。
ということは、研究の結果の産物としてこれらの商品が生まれたんですね。
その通りです!実は「あきたぱらり」、「あきたさらり」 の元となる変異体を研究し始めたのは、3期生なんです(取材した学生2人は20期生)。だから大学で行う研究は決してムダなことではなく、未来につながる可能性を秘めているんです。
生物生産科学科の教授として、スターチテックの取締役として、今後のビジョンを教えてください。
「まんぷくすらり」をはじめとした品種が成長してほしいのはもちろんのこと、今後はもっと機能性のある品種を開発中です。
とてもやわらかい餅や、ものすごくおいしいお米というように、これまでにはなかったお米の商品を生み出していきたいと思います!
とてもやわらかい餅や、ものすごくおいしいお米というように、これまでにはなかったお米の商品を生み出していきたいと思います!
生物生産科学科はどんな人を求めていますか?
私たちの学科のキーワードは「植物」です。しかし植物は生物学の中ではマイナーというか、 二の次というイメージがあるんです。でも考えてみると、地球上で地球を支えているのは植物なんですよね。
光合成で光エネルギーを化学エネルギーに代えて有機物を作れるのは植物だけですし、人間にとっても重要な関わりがあるんです。その重要性や人間にとって欠かせない「食」について興味がある人を求めています。
光合成で光エネルギーを化学エネルギーに代えて有機物を作れるのは植物だけですし、人間にとっても重要な関わりがあるんです。その重要性や人間にとって欠かせない「食」について興味がある人を求めています。
先生のお話しを聞いていたら、生物生産科学科に入学したくなっちゃいました…!本日はお忙しい中ありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました!
取材データ
秋田県立大学 秋田キャンパス 生物資源科学部 生物生産科学科
住所:秋田県秋田市下新城中野街道端西241-438
大学HP:https://www.akita-pu.ac.jp/
学科紹介ぺ―ジ:https://www.dbp.akita-pu.ac.jp/index.html