「よそ者だからこそ…」大仙市地域おこし協力隊のリアルを聞いてきた!

 

今回は大仙市地域おこし協力隊の小川賢さん、伊藤貴輝さん、狩野智美さんにお話を伺ってきました。

「地域おこし協力隊って何してるの?」

「どんな人がやってるの?」

「なぜ大仙市に来たの?」

…というような、じゃんごブログでしか聞けないディープな話を大ボリュームでお届けします!

大仙市地域おこし協力隊のリアルがたくさん聞けました。

じゃんご
協力隊の方とお話できる機会少ないので今回はすごく嬉しいです!よろしくお願いします!

ホームタウンだから

大仙市地域おこし協力隊 小川賢さん

じゃんご
まずはじめに、なぜ「大仙市の地域おこし協力隊」になったのか、きっかけやこれまでの過程などを聞きたいです!

小川さん
私の実家は秋田県藤里町で、幼少の頃までそこにいました。幼い頃に親の都合で東京に引っ越すことになり…25年以上ですね。

夏休みなどの機会に秋田へ帰省していたのですが、秋田の雰囲気がゲームの「ぼくのなつやすみ」みたいで…いいなぁ~って。

じゃんご
「ぼくのなつやすみ」の感じ、秋田ってめっちゃでてます(笑)

小川さん
東京ではバンドをやっていました。バンドが終わり、一人で曲をつくるようになって「音楽で生計を立てていこう!」と思ったんですけど、やっぱり厳しくて。

それからCM制作関連の会社でMA(マルチオーディオ)の仕事をしました。

ある程度技術を身に着けて、「いつか秋田に住んで、独立してこのスキルを活かしたい!」っていう想いがありました。

そんなとき、秋田県の地域おこし協力隊を探していたんです。

その中で自分のスキルや経験を活かせるのは大仙市の協力隊かなと思い、決めた感じです。

「大曲の花火」を見たことがあり、知っているまちということもありました。

じゃんご
【田舎の美しさ】という点で言えば、秋田以外の選択もあり得ますよね?

「秋田」にこだわる理由はどこにあったんですか?

小川さん
小さいころから見てきた風景が秋田だから、やっぱり秋田がいいです。

旅行が好きで、北海道や沖縄などにも行くのですが、自分のホームタウンとして住むのならやっぱり秋田ですね。

小川賢(32)
秋田県藤里町出身(5歳まで)
東京都荒川区(31歳まで)

<個人での活動内容>

  • イベントPR映像作成
  • 「大仙市地域おこし協力隊チャンネル(YouTube)」の企画・撮影・編集
  • 「大仙市歌う地域おこし協力隊」として市内イベントにギター弾き語り出演
  • 音楽を通じて繋がる市民のためのイベントを企画中 など

 

大仙市は「毎月花火があがるまち」

大仙市地域おこし協力隊 伊藤貴輝さん

じゃんご
伊藤さんの「大仙市地域おこし協力隊」になったきっかけを教えてください!

伊藤さん
自分は中学生くらいの時から【田舎の生活】に憧れていたんです。その中で高校卒業後にワーキングホリデーを使ってオーストラリアに2年間いました。

そこで日本から来てる方とのつながりができ、日本各地に興味を抱くようになりました。

秋田に来る前までは広島でアルバイトなどをしていたのですが、地元(埼玉)に帰ったときに「さすがに就職してみない?」って親に言われて(笑)

就職先も地元とは違う、別の場所がいいなって思っていました。

けど、決まった仕事に就きたくない!という意志が強く、その中でみつけた「大仙市地域おこし協力隊」が魅力的だなって。

毎月花火があがるまち」という、うたい文句にも魅力を感じてしまいました(笑)

じゃんご
花火、本当にすごいですからね。

小川さん
昨日も上がってましたね(笑)

じゃんご
大仙市エリアに住んでいると、「あっちの方向だから〇〇(イベント名や施設名)かな?」ってわかりますよね(笑)

 

じゃんご
みなさん大仙市に来られたのはいつ頃ですか?

伊藤さん
全員、2018年の4月です。

じゃんご
そうなんですね!それこそ「大曲の花火」との関わり方ってみなさんどんな感じですか?

伊藤さん
基本的に協力隊メンバーはフリーです。だから当日はSNSなどを活用し、各々情報発信をしています。

じゃんご
「大曲の花火」、県外の方から見た印象はどうですか?

伊藤さん
埼玉じゃまず、この規模の花火大会は見れないですね。

じゃんご
感動しますよね~。僕も毎年「大曲の花火」に行ってます!花火鑑賞士の資格も取得しているくらい好きなんです(笑)

伊藤貴輝(24)
埼玉県新座市出身

<個人での活動内容>

 

群馬県から大仙市へ

大仙市地域おこし協力隊 狩野智美さん

じゃんご
狩野さんはどのようにして「大仙市地域おこし協力隊」に辿り着いたのですか?

狩野さん
さかのぼることは、大学卒業後の頃です。私は新卒で東京都内の一般企業に就職しました。

ですが、満員電車に耐えられなくて3ヶ月で辞めて、地元の群馬県に帰りました。

その時から【社会への疑問】を抱えていました。

じゃんご
社会への疑問?

狩野さん
う~ん。例えば新卒の時は「私、こんなことしかやっていないのになんでお金はいるの?どこから搾取すればこうなるのか…」って思っちゃったんですね。

営業職でしたが「嫌だ」っていう感覚も抱いていました。

批判はいくらでもできるけど、批判じゃなくてつくるほう…どういう生活をしていくかっていうところで、自給自足的なもの、小さいビジネスをつくりたいという考え方にシフトしていったんです。

じゃんご
地元の群馬県では何を?

狩野さん
人間にあんまり関わらなくてよさそうな仕事だったらイケるかも!と思い、群馬の観光牧場でバイトをし始めたんです。

そのあとは栃木県の那須で、自給自足を実践するプロジェクトに参加しました。田んぼやったり、畑やったり、家建てたり、太陽光パネルつけたり…。

じゃんご
結構ガチな自給自足!!

狩野さん
まぁ、完璧ではないですけどね(笑)

狩野さん
そのような経験もあり、先日は発酵について勉強できる【発酵のワークョップ】を㈱秋田今野商店さんで開催しました。

ワークショップで調理した「発酵×山菜 +南外の食材」をベースにしたお料理

狩野さん
埼玉で農家民宿立ち上げたい!という仲間のサポートもしていました。1年半くらい。

で、その後は私もワーキングホリデー行こうかなと考えたのですが、北への憧れがすごくあって。北部への!

最初はノルウェーに行くことを考えてたんです。雪が降ると、手を使う文化があるから。

でも全国各地を旅してたら、「やっぱり日本にいたほうがいいかな~」って思い、ノルウェー行くのはやめました(笑)

あわせて就職先を探していたとき「地域おこし協力隊」を見つけました。

その頃、大仙市が募集していた地域おこし協力隊は【フリーミッション】に近い内容だったので、応募させてもらいました。

じゃんご
みなさん、【フリーミッション】に近い内容での採用だったんですか?

狩野さん
そうですね~。そんなにガッチリ決まってなかったし、そういうところも魅力的でした。

北東北の各エリアにアクセスしやすい」というのと「雪へのあこがれ」があったので、それに合うのが大仙市でした。

狩野智美(31)
群馬県渋川市出身

<個人での活動内容>

  • 南外地域ワークショップ「大切なものを手でつくる」開催
    【草木染め×ピクニック】のワークショップ
    【坐禅 × 出汁研究】のワークショップ
    【野良着 ふんどし 】づくりワークショップ など
  • チラシデザイン
    大仙市文化財保護課年間計画のポスター、移住者向け相談会のチラシ、大仙市魅力体験住宅「youkoso」チラシ、ふるさと納税返礼品紹介のチラシ、無料職業紹介所のチラシ、など

 

飛び込む勇気

じゃんご
ちょっと気になったんですけど、みなさんのような【フリーミッション】に近い内容で協力隊を募集している地域、多いですか?

小川さん
他のエリアだと、結構決まってることが多いですね。

伊藤さん
実際、どちらが良いのかなんとも言えないですね

狩野さん
最初、迷うよね。

伊藤さん
ミッションが決まっていると、動きやすさはあるんです。

小川さん
だんだんやっていくうちに、自分たちでやりたい事が固まってきたんですけど、最初入ったばかりの時って「何したらいいんだろう?」って感じでした。

狩野さん
広いしね、大仙市。

小川さん
大仙市は8つの地域で構成されているんですけど、知る為にひたすらまわってましたよね~。積極的に行事に参加したり。

じゃんご
協力隊の方たち、勉強熱心な方ばかりなのでめっちゃ尊敬しています!

 

大仙市は「都会」

全国花火競技大会「大曲の花火」

じゃんご
大仙市の印象はどうでしたか?

狩野さん
冬場の運転に苦労しました。

狩野さん
雪で路面の表示がみえないんです。「これ…右車線?左曲がる車線…?」みたいな(笑)

じゃんご
あ~そうか!それこそ厚生医療センターのところは雪あると絶対ムリですね。地元の人ならわかるけど。

秋田の雪…初見殺しですね(笑)

小川さん
大曲は割と都会ですよね。イオンモールあるし。もう少し、田舎をイメージしてました(笑)

狩野さん
私も(笑)

じゃんご
「意外と都会」なイメージだったんですね!

狩野さん
協力隊はみんなアパートに暮らしているんですけど、住宅街で都会!

小川さん
現状、住んでいるエリアで言えば、田舎を感じることはありません。でも大曲からちょっと離れると、自然が多いよな~って思います。

狩野さん
秋田が広くてびっくりしました。隣の市に行くのが、県外行くみたいな印象です。

だって1時間で群馬~埼玉行けるから、その感覚でいくと秋田市は県外(笑)

伊藤さん
自分は車の渋滞がないから、あんまり距離が遠いとは思いませんでしたね~。渋滞等がある分、埼玉の方が移動時間を意識してしまいます。

じゃんご
そっか~渋滞ほぼないですもんね!

小川さん
大仙市は車の量と人口が丁度いいなって思いますね。交通面で見ると、東京よりかはストレスを感じないですね。

 

よそ者の「度合い」

じゃんご
大仙市(秋田)の人たちの印象はどうですか?

小川さん
自分が興味を持った方に突撃取材しに行っても、「よく来たな~」みたいに受けれ入れてくれる人が多いです。

人見知りが多い印象ですけど、受け入れてくれるあたたかさを感じました。

狩野さん
言葉の壁はありましたね。協力隊やってるからなのか、ご年配の方と話すことが多くて。電話だと特に、どう聞き返していいかわかんなくなっちゃう。

じゃんご
僕でもわからない言葉はたまにあります(笑)「え?なにそれ…」みたいな。

小川さん
じいちゃんばあちゃん同士の会話だと聞き取れない時ありますもんね。

伊藤さん
言葉を理解していない時の愛想笑いとか気づかれますね。「わがってねべ~」って言われます(笑)

 

じゃんご
肯定も否定もしませんが、秋田って「よそ者を受け入れない」という風評というか、噂というか…あるじゃないですか。

「よそ者」だからこそ感じることってありますか?

狩野さん
ホントのところって、見せたり見せなかったりするじゃないですか。人って。だから、「よそ者だからな…」って落ち込みモードになることはあります。

みんなでつくるときも「本当に仲間に入れてるのかな」って思ったりしちゃいます。

じゃんご
僕でもめちゃくちゃ感じること、あります。

伊藤さん
その辺の問題って、どのあたりから「よそ者」をウェルカムにしてくれるのかだと思います。

地域の方たちが見知らぬコッチ側に話しかけることってまずないじゃないですか。でも自分たちから話しかければ、そんなに突き放す人はいないと感じています。

地域の方とのコミュニケーションで大切なのは、地域にくる人・よそ者から始まるんじゃないかな~って思います。ウェルカムになるかどうかは、来る人次第。

じゃんご
あ~…わかります。わかるんですけど(大変恐縮ですが)、強い方の意見だと感じてしまいました。

自分から行動して関係を構築して…って考え方。多分、「できないよそ者」もいると思うんです。

だから僕は「もう少し協力的な秋田であったらな~」って想う部分もあります。

小川さん
その点に関して私は、よそ者が入り込む【度合い】だと思っています。

  1. 表面上
  2. 踏み込んだ関係
  3. その人たちと同じ地域の住人

の3層あると考えてみます。

私たちが声をかければ受け入れてくれると思います。2層目までは。

3層目になると「この人『よそ者』だから…」っていう意識が働いちゃうと思うんですね。

引っ越してきて、その集落の一員になったとします。そこで自分からアクションを起こさない…そうなると「アイツよそ者だからな~」って避けられる想像はなんとなくできます。

でも実際、私たちがいきなり取材に行っても、踏み込めるのは2層目まで。だから受け入れられているんだと思っています。

 

協力するのは僕たちだけじゃないと思う

じゃんご
慣れない環境に順応していく中であらゆる経験をされていると思いますが、楽しいこともたくさんありますよね?

伊藤さん
自分は苦悩の毎日ですね(笑)

じゃんご
苦悩ですか!?!?!?

伊藤さん
苦しんでいます(笑)

どうしたら地域に人が来るか、どうしたら魅力を発信できるかなど、「どうしたら」の毎日です。

また、自分たちは「まちおこし」が仕事なのですが 、地域の方は本業に+α で「まちおこし」なので、協力をしていただける方も多くはなく苦悩しています。

じゃんご
「協力者不足」って感じですか?

伊藤さん
そうですね~。元々地域に根付いている方が力になってくれると円滑に進む物事も多いと感じますが、本業ありきでは、中々協力も難しいだろうと自身も思います。

じゃんご
あ~わかる気がします。

もし僕がまちおこしイベント開いても、協力者はほとんどいないと思う

そこには家族があって、子供もいて、仕事があって…ぶっちゃけ「手一杯」と感じているんじゃないかって。あと「面倒くさい」とか。

「自分の暮らしがよければいい」って考え方もわかりますけどね。

じゃんご
僕は「協力者不足なのはしょうがない」って思いこんでいる部分もあります。

秋田は人口不足で、若者流出でヤバイ!みたいになってますけど、正直、危機感を抱かない・抱けない現状じゃないですか。意外と成立しているから。

だから「あ、もう本当にヤバイな…」っていう日が来るまで協力者は現れないよな、って。

 

狩野さん
私は「地域おこし」という言葉にとらわれず、【地域を宣伝する】【地域の人(細胞)が元気に、たのしく、活き活き暮らせる】ということを意識して活動しています。

大きく地域の環境をつくる事業(建築デザインなど)は影響力があると思うんですけど、私は「文化をつくっていけばいいんだ」と考えています。

やりたいこととか、これがいい!と思うこととか。

そういうことをやって人が集まればそれでいい…ちょっと無責任な発言になりますが、それで元気にならなかったらそういうものだな、という気がして。

「人が本当に元気になる」

「本当に気持ちいい」

そうなるためには何がしたい?

ってことだけでいい気がします。

だから、自分の好きなことやろう!って思っています。

そうじゃないと自分も疲れるし、なんかエネルギーを摩耗した感じになっちゃうから。

じゃんご
真理のような気がします。

 

「何か」に応える協力隊

じゃんご
(小川さんのプロフィール情報を見て)ギターの弾き語り…?

小川さん
個人でもやりますが、3人でやったりもします!3人の時は楽器を分担して…

狩野さん
私、タンバリン担当!

小川さん
子供たちの前で演奏したりとか、公民館でおじいちゃんおばあちゃんの前で披露したり。

じゃんご
もうアーティストじゃないっすか!

小川さん
最近は、一人の弾き語りステージもちょいちょいあります。おとといも地域の納涼祭で披露したり…

じゃんご
なにがきっかけで依頼が来るんですか!?

小川さん
きっかけは伊藤隊員が持ってきた話からです。

伊藤さん
大沢郷であった地域のお祭りがきっかけでした。

「撮影で来てくれないか?」という依頼があってそこから話が弾んで「なんかやれ!」ってなったんですよ(笑)

自分ひとりじゃ荷が重いので、みなさんに協力を仰いで3人で演奏したのがはじまりですね。

小川さん
それがFacebookで拡散されたり、大仙市の広報に載ったりしてから声かけられるようになりましたね~。

じゃんご
最近の秋田県の協力隊の活躍、すごいですもんね。協力隊のアーティスト化が著しい(うらやましい)

じゃんご
今回は貴重なお話ありがとうございました。これからも大仙市地域おこし協力隊の活動に注目しています!

最後に

「地域おこし協力隊」という言葉を知ったのは、僕が高校生のとき。

不活性なまちを元気にするヒーローのような存在だと、当時の僕はそう思っていました。

…ぶっちゃけ、今でもそう思っています。

特別な「何か」を期待してしまいます。

様々な問題を抱える秋田県を、元気のないまちを、僕たちの知らない技と知識で助けてくれるんじゃないかって。

 

こうして考えると、地域おこし協力隊の方々ってすごくないですか?

だって知らないまちに飛び込んで、嫌な顔ひとつせずにまちをよくしようとしてるんですよ?

僕がこれまでお会いしたことのある県内の地域おこし協力隊の方は、とても優しくて、勇気のある人たちばかり…本当にヒーローだと思っています。

 

ヒーローたちの想いや活動を知ることで、僕たちも❝”協力❞できる部分がきっとあるはずです。

いつだって協力しあえる存在でありたい。

そう思えた取材でした。

「元気をわけてくれ!」と叫ぶなら、
僕はすぐさま駆けつけよう。

 

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